正楽寺日誌 つれづれなるままに

生かされている
大きなはたらきの中で

2022.11

仏壇にどういうことを言ってお参りしたらいいのかわかりません

高橋中学校 二年B組 足立春美

 わたしは毎朝、仏壇にお参りしています。これは、小さいときからおばあちゃんや

父母などに、仏壇に参らなかったら「ののさんは」と言って叱られたので、自然に

習慣がついてしまいました。

 はずかしいのですけれど、まだ、どういうことを言って参ったらいいのかわかりま

せん。わたしは「なむあみだぶつ」と言って、今日も良い日でありますようにと言っ

て参ります。家族の人が旅行などをするときは、いい子ぶっているかもわかりません

が、無事で行って無事で帰られますようにと言って参ります。先生、どういうことを

言って参ったらいいのでしょうか。

 先生はお坊さんなので、変なことを言って参るのだなと思われたらはずかしいな、

と思いましたが書きました。変なことを思ってすいません。

 変などころかー。

 こういう問題をこんなふうに考えていてくれるだけでなく、実際の暮らしのなかに

生かしていてくれる人がこの中学校にいる、ということだけで、たいへんうれしい気

がしています。

 宗教のことについては、小学校でも中学校でも、特定のひとつの宗教をすすめたり、

自分の信仰を生徒に押しつけたり、生徒の信仰を邪魔したりはできないことになって

いますので、自然、先生方も、教えてもいい部分をさえ、さわらないようにされてい

るところがあると思います。そのために、あなた方も、宗教のほんとうの意味やねう

ちを知る機会がなく、変な迷信なんかにも案外コロリとまいってしまう人ができたり

している今の世のなかのことを考えると、もう少しこれは考えてみなければならぬこ

とだと思っています。

 さて、わたしも朝と晩は必ず仏さまにお参りしていますが、わたしのお参りの心持

ちを書いてみましょう。(足立さんの考えやお参りの仕方のほうが立派なような気も

するのですが……)。

 わたしは、家の子どもが大病をして、もう今夜はいのちが持つか持たないかわから

ない、というようなときにも、病気をなおしてやってくださいとおねがいしたことは

一度もありませんでした。子どもが入学試験を受けるときにも、合格させてやってく

ださいとおねがいしたことは一度もありませんでした。そのわけは、わたしは、わた

しの信じている仏さまは、おねがいしなかったら言うことをきいてくださらないよう

なケチな仏さまでないことを、深く信じているからです。

 わたしたちの胸のなかで、心臓は、おいのりしなくてもおねがいしなくても、そん

なことはおかまいなしに、いつでもどこでもドキドキドキドキ……、働きどおしに働

いていてくれますね。胃ぶくろは、おいのりしなくてもおねがいしなくても、いただ

いたものをこなしていってくれますね。生まれてから一日も休まず働きどおしです。

肺も、生まれてから一日も休まずに、わたしがおこっているときも人をにくんでいる

ときにも、わたしのために働きどおしです。

 この大宇宙のなかには、こんなふうに、わたしたちを生かしづめに生かしていてく

れる大きなはたらきが、働きどおしに働いていてくれます。このすばらしいはたらき

を、わたしは仏さまのはたらきだと信じているのです。

 わたしだけでなく足立さんも、宗教の宗の字も考えない人も、意地悪の人も、迷信

の人も、そんな区別なく、みんなこの大きなはたらきのなかで育てられ、生かされて

いるのです。

 人間だけではありません。バラも朝顔もダリアも牛もねこも犬も!みんなこのす

ばらしいはたらきに生かされているのですね。

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