正楽寺日誌 つれづれなるままに

大きい人と小さい人がある
体のことではない 生き方のことだ

 大きい人と小さい人とがある

 体のことではない

 生き方のことだ

 梅田の賢さんはわたしとおなじ明治四十五年の生まれだが

 毎日 山仕事にいっておられる

 「六千円貰える仕事なら

 せめて七千円分は働かせて貰わねば…」

 というのが賢さんの信条だという

 そういえば

 うちの法座のときにも

 いつもいちばん早く参って

 おしまいは

 ざぶとんのかたづけから灰皿のかたづけまでして 帰っていかれる

 大きい世界を生きておられる賢さん

 自分のことさえしかねている 小さい私

 この間から

 無人の西川の庭木をきれいに剪定してあげていてくださるのは 武知先生

 どがいしょなしばかりいるうちの栗園の下草を

 いつの間にかきれいに刈っていてくださっているのもどうやら 武知先生

 大きい世界を生きておられる

 武知先生

 自分のことさえしかねている

 小さい私

 家でも わたしが

 いちばん小さいのではないか

 「無理をしないでください」「休んでください」と

 心にかけてもらうその何十分の一

 老妻のことを私は心にかけているだろうか

 パンツの洗濯から何から何までして貰う

 その何十分の一を私は老妻にしているだろうか

 ひょっとすると孫よりも小さい世界を生きている私

 小さい私

 はずかしい私。

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