仏事の心得仏事の心得

貴方の葬儀は家族葬を望まれていますか?Ⅱ

ある時目にした訃報に、但し書きのように添えられた言葉がありました。「故人の意志により、お香典・生花等は一切固くご辞退致します」故人は九十歳を過ぎた方でした。しかも家族葬とのこと。
故人の意志と云う言葉はとても都合の良い言葉です。死んだ人は二度と口を開くことはありません。本人の意思とまったく違った事でも全て故人の意志になってしまいます。

最近のお年寄りは、家族(我が子)に遠慮して肩身の狭い思いをしながら暮らしています。わが身を削って育てた子供にでさえ何も言えないのです。それを当然と思っている子供がいる事も事実です。何故でしょう? 「善因善果・悪因悪果」「因果応報」の言葉のとおり親にした仕打ちが、いずれわが身に返ってくることに気がつかずに・・・。

お正月の【仏事の心得】に書いたようにお寺では、皆様の葬儀への思いをお預かりするシステムを始めました。葬儀の形(知り合いには知らせて欲しい・家族葬でよい等々)や、知らせて欲しい方がいれば、その名簿等を封筒に入れて封印の後、署名捺印をしてお預け下さい。開封は、提出された方が亡くなられた後、住職が確認させて頂きます。当然書き換えも自由です。書き換えた時は以前提出されたものは、そのままお返し致します。

 

【仏事の心得】は貴方だけが読むものではありません。いつも家族全員で読んで下さい
感謝と報恩を忘れしは人にあらず

「和言愛語」は大切な言葉

お彼岸中の出来事です。昨年末に発症した椎間板ヘルニアの影響で、痛みを和らげるために杖を使用しながらお参りさせて頂いていました。彼岸まいりも十一日目くらいになっていた日の朝たまたま小学校の登校時間に、あるお宅に伺うのに車を降りました。路地に入る一番近くに娘が車を停めてくれましたが、たまたま横断歩道の上に車を私が降りる間停めてしまいました。足腰の痛い親を思って一番近い所に車を停めたのだと思います。当然路地の入り口ですから娘は車をすぐに移動させたはずです。路地を奥に向かって歩いていく私の背中に「こんな所に車を停めるんじゃないよ」と云う男性の声が突き刺さりました。横断歩道で小学生の交通安全のために旌を振っていて下さる昔風に云えば緑のおばさんならぬおじさんの声でした。きつい口調からして決して笑顔で語りかけて下さっているとは思えません。怖い顔から発せられていると誰でも想像できる口調でした。言われた娘にしてみれば親の事を考えてほんの少しだけ停めた事、確かに横断歩道の上に車を停めたことはいけないことかもしれませんが、長時間停めっぱなしにしたわけではありません。すぐに移動させています。
私達の日常会話の中には相手を傷つけてしまうような言葉が含まれていることもあると思います。言葉は相手を傷つけたり・慰めたり・喜ばせたり・怒らせたりと命を持っています。

一つの言葉でケンカして 一つの言葉で仲直り
一つの言葉でほほえんで 一つの言葉で泣かされた
ひとつの言葉はそれぞれに ひとつの命を持っている。
思いやりのある言葉を使いたいと常々思っているのですが、確かに難しいですね。でも気遣い・心遣いは忘れずにいたいものです。

貴方の葬儀は家族葬を望まれていますか?

現代社会で流行っている?葬儀に家族葬と呼ばれるものがあります。隣近所には一切知らせない・もっと凄いものには親戚にも知らせないで葬儀を勤める、それがもっと進むと葬儀もしない読経も法名(他宗では戒名)もいらないと云う直葬になってしまいます。親の葬儀を勤めないと云う信じられない現象が起こっているのです。親の恩など現代人には無縁の言葉なのでしょうか?
命を与えて下さった事への感謝、今自分がこうして生きている事への感謝等々は「死んだ人間に使うお金が惜しい・自分の生活の方が大事」と云う考えに負けてしまうのでしょうか?確かに葬儀費用が用意出来ない方がいるのも現実なのかもしれませんが・・・

最近ご家族からの葬儀の依頼で、よく聞く言葉が「個人の遺言で誰にも知らせずに家族葬で」と云われます。住職が亡くなられた方をよく存じ上げている場合が多々あります。あの方が家族葬を望むなんて信じられないと云う思いが心を駆けめぐります。
あの方には送って欲しいとの思いが、きっと有るかと思います。亡くなられた方の意志を無視する事が有ってはならないことと思います。

今年からお寺では、皆様の葬儀への思いをお預かりするシステムを始めようと思います。葬儀の形(知り合いには知らせて欲しい・家族葬でよい等々)や知らせて欲しい方の名簿を封筒に入れて封印の後、署名捺印をしてお預け下さい。開封は提出された方が亡くなられた後住職が確認させて頂きます。当然書き換えも自由です。書き換えた時は以前提出されたものは、そのままお返し致します。お正月の初参りからお預かり致します。

 

感謝と報恩を忘れしは人にあらず

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