浄土真宗について浄土真宗について

ご消息ご消息

浄土真宗本願寺派門主からのお言葉です。

伝灯奉告法要についての消息

伝灯奉告法要についての消息 去る平成26年6月6日、前門主の跡を承けて法統を継承し、本願寺住職ならびに浄土真宗本願寺派門主として務めてまいりました。ここに法統継承を仏祖の御前に奉 告いたしますとともに、あわせて本願念仏のご法義の隆盛と宗門の充実発展とを期して、平成28年および29年に、伝灯奉告法要をお勤めすることになりました。

阿弥陀如来のご本願は、あらゆる存在を分け隔てなくそのまま救おうとはたらきか けていてくださいます。迷いと苦悩をかかえる私たちは、阿弥陀如来のお慈悲ひとすじにこの身を任せ、真実のさとりの世界であるお浄土に生まれていくべき身にならせ ていただきます。宗祖親鸞聖人が「そらごとたわごと」とお示しくださった私たち自身を含む迷いの世界は、何一つとしてたよりになるものはありませんが、ご本願のは たらきの中に生きる私たちは、確かな依りどころを持つことができます。

科学技術の発達による便利で豊かな生活の追求や欲望の肥大化はとどまることを 知りませんが、人々は、そのような豊かさのみを追求することの虚しさに気づきはじ めたのではないでしょうか。しかも、核家族化・人口の流動化などによって社会構造は大きく変化し、人間関係は希薄となり新たな悩みや不安を生み出しています。さらに世界に眼を移せば、武力紛争、経済格差、気候変動、核物質の拡散など、人類の生 存に関わる課題が露呈しています。これらの傾向は今後一層強くなっていくことと思 います。

私たちは、凡愚のまま摂め取って捨てないとはたらき続けていてくださる阿弥陀如 来のお慈悲を聞信させていただき、その有り難さ尊さを一人でも多くの方に伝えることが大切です。それとともに仏智に教え導かれて生きる念仏者として、山積する現代社会の多くの課題に積極的に取り組んでいく必要があります。まさにこのような営みの先にこそ、「自他共に心豊かに生きることのできる社会の実現に貢献する」道が拓かれていくのでありましょう。

このたびのご法要が、親鸞聖人によって明らかにされた阿弥陀如来の救いのはたらきに依りながら、時代の変化に対応する宗門の新たな第一歩として意義を持つものでありたいと思います。宗門では、親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年に向けて新たな長期計画が策定されます。皆様の積極的なご協力とご参画を心から念願いたします。

平成27(2015)年1月16日

龍谷門主 釋 専 如

法統継承に際しての消息

本日、私は先代門主の意に従い、法統を継承し、本願寺住職ならびに浄土真宗本願寺派門主に就任いたしました。

ここに先代門主の長きにわたるご教導に深く感謝しますとともに、法統を継承した責任の重さを思い、能う限りの努力をいたす決意であります。

釈尊の説き明かされた阿弥陀如来のご本願の救いは、七高僧の教えを承けた宗祖親鸞聖人によって、浄土真宗というご法義として明らかにされ、その後、歴代の宗主方を中心として、多くの方々に支えられ、現代まで伝えられてきました。その流れを受け継いで今ここに法統を継承し、未来に向けてご法義が伝えられていきますよう、力を尽くしたいと思います。

宗門の過去をふりかえりますと、あるいは時代の常識に疑問を抱かなかったことによる対応、あるいは宗門を存続させるための苦渋の選択としての対応など、ご法義に順っていないと思える対応もなされてきました。このような過去に学び、時代の常識を無批判に受け入れることがないよう、また苦渋の選択が必要になる社会が再び到来しないよう、注意深く見極めていく必要があります。

宗門の現況を考えます時、各寺院にご縁のある方々への伝道はもちろんのこと、寺院にご縁のない方々に対して、いかにはたらきかけていくのかを考えることも重要です。本願念仏のご法義は、時代や社会が変化しても変わることはありませんが、ご法義の伝え方は、その変化につれて変わっていかねばならないでしょう。現代という時代において、どのようにしてご法義を伝えていくのか、宗門の英知を結集する必要があります。

また、現代のさまざまな問題にどのように取り組むのか、とりわけ、東日本大震災をはじめとする多くの被災地の復興をどのように支援していくのかなど、問題は山積しています。

「自信教人信」のお言葉をいただき、現代の苦悩をともに背負い、御同朋の社会をめざして皆様と歩んでまいりたいと思います。

退任に際しての消息

本日、平成26年6月5日をもって、私は本願寺住職ならびに浄土真宗本願寺派門主を退任し、後を本願寺嗣法・新門に託すことにいたしました。

昭和52年4月1日、法統を継承して以来、37年2か月になります。至らぬことが多々あった中、今日まで務めることができましたのは、仏祖のご加護は申すまでもなく、宗門内外の方々のご支援、ご理解とご協力のお蔭であります。皆様に、心より感謝申し上げます。

この間、本願寺では、阿弥陀堂の修復、顕如上人400回忌、蓮如上人500回遠忌、御影堂の修復、宗祖聖人750回大遠忌等のご縁を皆様とともにすることができました。さらに、北境内地を取得できたお蔭で、活動をより広く展開できるようになりました。また、宗門では基幹運動の推進とともに、さまざまの活動や事業がありました。世界各地にも、お念仏の輪が広がっています。それらを、巡教などによって身近に知り、御同朋の思いを確かめることができましたこと、まことに有り難く思います。

この37年間は勝如前門主の戦争を挟んだ激変の50年に比べれば、やや穏やかとも言える時代でしたが、国内では大小の天災・人災が相次ぎ、経済価値が優先された結果、心の問題も深刻化しました。世界では、武力紛争、経済格差、気候変動、核物質の拡散など、深刻なあるいは人類の生存に関わる課題が露わになりました。その中で、心残りは、浄土真宗に生きる私たちが十分に力を発揮できたとは言えないことです。

私たちの宗門は、門信徒一人ひとりに、み教えが受け継がれるという素晴らしい伝統をもっています。これからも、社会の変動の中にあって、浄土真宗のみ教えや伝統にある多様な可能性を見つけ出し、各人、各世代、それぞれの個性と条件を活かし、特に若い世代の感性と実行力を尊重して、一人でも多くの方を朋とし、御同朋の社会をめざして歩むことができるよう願っております。

後を継ぎます新門主は、築地本願寺で5年9か月の間、副住職を務めて経験を積み見聞を広めています。今後は、法統を護るとともに、宗門全体を思い、広く宗教界を視野に入れて、務めることとなります。皆様の一層のご支援をお願いいたします。

なお、私は、70歳まであと1年余りとなりました。先のことは予測できませんが、阿弥陀如来の揺るぎない本願力の中に、宗祖聖人のみ教えを仰ぎ、浄土真宗の僧侶としての務めを、できる限り果たしたいと思っております。

親鸞聖人750回大遠忌についてのご消息

平成24年1月16日は、宗祖親鸞聖人の750回忌にあたります。本願寺では、ご修復を終えた御影堂において、親鸞聖人750回大遠忌法要を平成23年4月よりお勤めすることになりました。このご勝縁に、聖人のご苦労をしのび、 お徳を讃えるとともに、浄土真宗のみ教えを深く受けとめ、混迷の時代を導く灯火として、広く伝わるよう努めたいと思います。
親鸞聖人は承安3年に御誕生になり、9歳で出家得度され、比叡山で学問と修行に励まれました。しかし、迷いを離れる道を見いだすことができず、29歳の時、聖徳太子の示現を得て、源空聖人に遇われ、本願を信じ、念仏する身となられました。35歳の時、承元の法難により、越後にご流罪となられますが、後にはご家族を伴って関東に移り、人びとと生活をともにし、自信教人信の道を歩まれました。晩年は京都で、ご本典の完成に努められるとともに、三帖和讃など多くの著述にお力を注がれ、 90歳を一期として往生の素懐を遂げられました。
親鸞聖人によって開かれた浄土真宗は、あらゆる人びとが、阿弥陀如来の本願力によって、往生成仏し、この世に還って迷えるものを救うためにはたらくという教えです。南無阿弥陀仏の名号を聞信するところに往生が定まり、報恩感謝の思いから、如来のお徳を讃える称名念仏の日々を過ごさせていただくのです。
仏教の説く縁起の道理が示すように、地球上のあらゆる生物非生物は密接に繋がりを持っています。ところが今日では、人間中心の考えがいよいよ強まり、一部の人びとの利益追求が極端なまでに拡大され、世界的な格差を生じ、人類のみならず、さまざまな生物の存続が危うくなっています。さらに、急激な社会の変化で、一人ひとりのいのちの根本が揺らいでいるように思われます。私たちは世の流れに惑わされ、自ら迷いの人生を送っていることを忘れがちではないでしょうか。お念仏の人生とは、 阿弥陀如来の智慧と慈悲とに照らされ包まれ、いのちあるものが敬い合い支え合って、往生浄土の道を歩むことであります。如来の智慧によって、争いの原因が人間の自己中心性にあることに気付かされ、心豊かに生きることのできる世の中、 平和な世界を築くために貢献したいと思います。
私たちの先人は、厳しい時代にも、宗祖を敬慕し、聴聞に励まれ、愛山護法の思いとともに、助け合ってこられました。この良き伝統を受け継がなければなりません。しかしながら、今日、宗門を概観しますと、布教や儀礼と生活との間に隔たりが大きくなり、寺院の活動には門信徒が参加しにくく、また急激な人口の移動や世代の交替にも対応が困難になっています。
宗門では、このたびのご法要を機縁として、長期にわたる諸計画が立てられ、広く浄土真宗が伝わるよう取り組むことになっています。700回大遠忌に際して始められた門信徒会運動、重要な課題である同朋運動の精神を受け継ぎ、現代社会に応える宗門を築きたいと思います。 そのためには、人びとの悩みや思いを受けとめ共有する広い心を養い、互いに支え合う組織を育て、み教えを伝えなければなりません。 あわせて、時代に即応した組織機構の改革も必要であります。
それとともに、各寺各地で勤められる大遠忌法要を契機に、その地に適した寺院活動や門信徒の活動を、地域社会との交流を、 そして、寺院活動の及ばない地域では、一層創意工夫をこらした活動を進めてくださるよう念願しております。
宗門の総合的な活動の新たな始まりとして、皆様の積極的なご協賛ご協力ご参加を心より期待いたします。

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